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同一労働同一賃金とは何なのか?

最終更新日 2024年11月21日 by degicame

同一労働同一賃金とは働き方改革の一環として、2020年4月1日から施行されてる予定となっているルールです。

これは企業において同一の仕事に従事している人間であれば、その雇用形態が正社員であろうとパートや派遣社員といった非正規労働者であろうと、同じ給料を支払わなければいけないということです。

最近になって突然登場した概念のように感じている人もいると思いますが、実際には100年以上前から提唱されている理念であり、1919年のヴェルサイユ条約でも、「同一価値の労働に対しては男女同額の報酬をうくべき原則」が提起されています。

もっとも当時この原則が提起されたのは正社員と非正規労働者という組分けよりも、男性と女性の賃金に差が生まれている現状の解消を意識したものでした。

参考URL:https://kigyobengo.com/media/useful/1033.html

もちろん同一労働同一賃金の概念は労働形態や性別による差別だけにとどまらず、人種や宗教などにおいても適用されます。

日本人ではない外国人労働者だからといって、不当に安い賃金で働かせるのは許されないということです。

それでは100年以上も前から存在するこのルールが、なぜ近年になって突然注目を集めるようになったのでしょうか?
それは残念ながら日本の多くの企業において、これまでこのルールが守られてこなかったからです。

日本はヨーロッパで起きた市民革命などの過程を通ることなく、いきなり近代化が進んだ国なので世界遺産に登録された富岡製糸場で、女工たちが酷使されるなど労働者の人権を軽視しがちな国です。

戦後もこうした意識に変化は見られませんでしたが、その一方で高度経済成長期では労働環境は劣悪でも生活に不自由しない賃金が与えられていたため、過労死などがたびたび問題になることはあっても、労働問題は生活の安定によって棚上げされてきました。

しかしバブルが崩壊し失われた10年と呼ばれるマイナス成長の時代に突入すると、企業は揃って経営問題をリストラなどによる人件費の圧縮によって解決しようとします。

政治家たちも大口の献金者である経済界の要望を受け入れ、規制緩和を実行します。

規制緩和という言葉は規制というネガティブなものが緩和されるということで、何となく良いイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実際には国民を守るために国家が企業に対して遵守させていたルールを撤廃するということなので、国民に不利益が発生するかもしれない行為です。

結果として規制緩和を受けて企業は多くの権利を与える必要がある正規雇用者の数を減らし、劣悪な雇用環境で働かせ自由に解雇できる非正規労働者を増やしました。

これにより一部の企業は莫大な利益を得ましたが、日本経済全体は大きく地盤沈下していきます。

当たり前の話ですが労働者は同時に企業から商品やサービスを購入する消費者でもあります。

その労働者に十分な給与を与えなければ、当然日本企業が販売する製品も売れなくなるのです。

2018年の調査では非正規労働者が労働人口の4割を占めるという衝撃的な調査結果が発表されました。

さらに近年では劣悪な雇用環境によって、将来に絶望した若者による無差別殺人なども発生しています。

こうした流れを受けて、遅まきながらも政府は同一労働同一賃金による、非正規労働者の雇用環境の改善を打ち出したという訳です。

制度が理想的に運用されれば、非正規労働者は賃金上昇などの恩恵を受けることができます。

しかし企業は過去にもこうした雇用改善策に対して、脱法的な手段を用いてルールを形骸化してきた前科があるため、制度が施行されることによって、非正規労働者が救われるかどうかは現在のところ不透明です。

一部の専門家は非正規労働者の給料を上げるのではなく、正規雇用者の給料が下げられる危険性を指摘しています。